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医療統計

監修

京都大学大学院医学研究科 医学統計生物情報学 教授
森田 智視 先生

カプランマイヤー曲線

カプランマイヤー曲線

カプランマイヤー法とは、打ち切りのあるデータにおいて生存時間の分布を図示する方法であり、カプランマイヤー法を用いてプロットした生存曲線をカプランマイヤー曲線といいます。各時点の累積生存率を示しており、対象集団における生存の状況を視覚的に把握することができます。

カプランマイヤー曲線における生存率

生存率は、死亡率(観察症例数に対する死亡数の割合)を1から引いた値です。カプランマイヤー曲線では生存率を生存期間に対して以下のようにプロットしていきます。
研究開始時点では全例が生存しているため生存率100%でスタートします。3ヵ月後に1例が死亡しており、単純に生存率を計算すると1-1/10で90%ですが、1ヵ月後に1例が打ち切りになっているため観察症例数から1例を差し引き、生存率は1-1/9で88.9%となります。さらに4ヵ月後に1例が打ち切り、5ヵ月後に2例が死亡していることから、5ヵ月時点の生存率は(1-1/9)×(1-2/7)で63.5%となります。7ヵ月後に2例が死亡しますが、それまでに3例が打ち切りとなっていることから、7ヵ月時点の生存率は(1-1/9)×(1-2/7)×(1-2/4)で31.7%となります。残り1例は8ヵ月後の追跡終了時点で打ち切りとなっています。

なお、生存期間中央値とは、生存率が0.5(50%)になる時点を指します。研究終了時点で生存率が50%より高い場合は計算できずnot reach(NR)と表現されることが多くあります。

カプランマイヤー曲線における右端の解釈に注意する

カプランマイヤー曲線の解釈では、注意すべきポイントがいくつかあります。
まず、生存率の精度がその時点で観察中の対象者数に依存する点です。例数が少ないほど、「1例の死亡」がプロットに与える影響が大きくなります。時間の経過とともに打ち切りや死亡によって観察症例数(分母)が減少するため、右末端の生存率の解釈には注意が必要です。例えば以下のように、右端で生存率が高くなっている場合も、偶然そのようになっていることもあるため既存治療のほうが優れていると解釈することは避けるべきです。

打ち切り例(Censored case)の取り扱い

打ち切り例には、試験終了によりそれ以降フォローアップできない患者さん、試験途中に脱落した患者さんが含まれますが、打ち切りとなった理由には注意が必要です。

打ち切りの種類

打ち切りとその後のイベント発生との間に関連がないケース:
転居や同意撤回により来院しなくなった、試験終了時点で生存中である
打ち切りとその後のイベント発生との間に関連があるケース:
治療中に増悪し、患者さんの状態が悪化したため試験中止となった

②の場合は生存率の推定に影響を及ぼしバイアスが生じる可能性があります。データを解析する際には②のような打ち切りがないか確認する必要があります。生存時間データの評価では、一部のデータが打ち切りになることを前提に適切に解析する必要があるため、log-rank検定などの特別な統計的手法を用いる必要があります。

参考

山崎力ほか. 臨床研究いろはにほ. ライフサイエンス出版. 2015, p44-45
佐藤弘樹ほか. 臨床統計まるごと図解. 中山書店. 2013, p114-136
宮原英夫, 折笠秀樹監訳. 実践医学統計学. 朝倉書店. 2005, p61-68

BLN224104IF1 2022年9月作成
『ビーリンサイト.jp』はアムジェンが運営する医療関係者向け情報サイトです。
こちらのページでは、抗悪性腫瘍剤/二重特異性抗体製剤ビーリンサイト(ブリナツモマブ)の医療統計 カプランマイヤー曲線をお届けいたします。

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