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治療
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植とは
造血幹細胞移植(HSCT) には同種と自家の2つの移植がありますが、ALLについては主に同種造血幹細胞移植が実施されます。
同種造血幹細胞移植と自家造血幹細胞移植
また、同種造血幹細胞移植は、採取部位により3種類に分けられます。
同種造血幹細胞移植の種類
同種造血幹細胞移植の流れ
移植適応となりえるタイミングや条件を確認し、それぞれのメリット、デメリットを見極めながら選択していくことが大切です。
同種造血幹細胞移植の流れ
ドナーの造血細胞が患者さんのリンパ球による拒絶反応や疾患の再発を防ぐために、移植の1週間前から前処置を行います。
前処置では、大量化学療法や全身放射線照射を行い、骨髄中の白血病細胞とともに正常細胞も根絶します。
ドナーの細胞を拒絶する免疫力を破壊し、拒絶反応を予防する効果もあるため重要な処置です。
造血幹細胞移植とHLA
同種造血幹細胞移植を行うには、患者さんとドナーのHLAの一致が必要です。HLAは白血球の型を示す抗原のことで、HLAが全て一致する確率は、非血縁者では1/10,000以下とされます。
小児ALLの造血幹細胞移植
ALLのタイプによっては、第一寛解期での同種造血細胞移植を考慮します。
初期治療で非寛解のALLに対しては、寛解到達後に同種造血細胞移植を考慮します。
造血幹細胞移植後の合併症
GVHD(移植片対宿主病:graft-versus-host disease)
移植後に起こりうる合併症で、発現時期により急性GVHDと慢性GVHDとに区分されます。ドナー由来のリンパ球が、移植後の体を外敵とみなして攻撃するために起こります。
合併症となる一方で、ドナーのリンパ球が患者さんの体内に残っている微小残存病変を攻撃し、再発を少なくさせる移植片対白血病効果(GVL効果:graft-versus-leukemia)も期待できます。
感染症
抗がん剤の副作用である骨髄抑制により正常な造血ができなくなり、白血球が減少し免疫力が低下するため、抵抗力が弱くなります。
感染症がみられた場合には、抗菌薬などの投与や無菌室への入室などの感染管理を行います。
不妊
前処置の大量抗がん剤や全身放射線照射により、高頻度に不可逆的な性腺機能障害を生じます。
精子や受精卵、未受精卵の凍結保存、卵巣を覆っての全身放射線照射などが試みられています。
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